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番外編俺は秦青空。それでいい

「オヤジ、白雪義夫が見付かった。月光温泉の近くを歩いていたとき車と接触し転倒して腰を痛めたとかで市内の病院に入院している」 「月光温泉の近くにはラブホが何軒もある。住宅密集地にごく普通に建っている。アパートの隣にあったり、老人ホームの隣にあったり。岳温泉に行ったと見せかけて近場で女と羽を伸ばしていたということか。なるほどな」 「ハツさんが意識不明の重体なのに」 ちょうど病院から帰ってきた久弥さんが怒りに震えていた。 「拉致されて睡眠薬を飲ませられ、道路に放置され車に轢かれたと聞きました。酷いことをしますね。同じ人間の所業とは思えませんね。金と女は人生を狂わせる。まさにその通りですね」 橘さんが黒い鞄から取り出したのは弓削さん宛ての手紙だった。 「ハツさんは自分に万が一のことがあったら、夫と樋口さんに殺されたと思ってくれと。自分が知らぬ間に義夫さんは複数の保険会社と契約し、かなりの額の死亡保険金が入るようになっているみたいです」 「義夫さんのところに行ってきます」 「久弥待て!」 彼が止めるのも聞かず久弥さんが走り出した。 「森崎ついていってくれ。義夫は女と朝っぱらからイチャついている。久弥にはかなり刺激が強すぎる」 「分かりました。未知さん、ハチと青空を借ります」 森崎さんが二人の手首を掴むとそのまま連れていった。

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