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番外編片山の野良犬ども!

「何しに来たんだ!片山の野良犬ども!」 義夫さんが怒鳴り声を上げ、久弥さんの顔めがけてひしゃげたスマホを投げ付けた。 「おっさん、久弥に当たるのはお門違いだろ?」 森崎さんがぶつかる寸前でスマホをキャッチした。 「身から出た錆じゃないのか?」 「は?もう一回言ってみろ!」 包帯を巻いた手で森崎さんに掴み掛かる義夫さん。 「アテテ………」 顔を歪め唸り声をあげると、腰に手を当ててうずくまった。 「軽傷で良かったじゃねぇか。奥さんのほうは意識不明の重体だがな」 森崎さんがちらっと窓のほうを見た。 年のころ四十歳くらいの髪の長い女性が、病院着を着て窓に寄り掛かりスマホを片手で弄っていた。 何回かノックしても応答がなかった。でも中からは女性の笑いながら話す声がかすかに聞こえていた。てっきり看護師さんと話しをしているんだと思い「義夫さん大丈夫ですか?」と声を掛けながら関係者以外面会謝絶と書かれたドアをそっと開け、カーテンをさぁっと引くと、ベットのなかで女性と行為の真っ最中だった。 「ちょっとなにしてんの!面会謝絶が読めないの?」 二人が脱ぎ捨てた服がベットの下に散らばっていた。女性が慌ててシーツを体に巻き付けた。 「朝っぱらからずいぶんとまぁ、精力旺盛だこと」 森崎さんが嫌味を言いながら舌打ちをした。

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