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番外編片山の野良犬ども

「へぇ~~片山組を知ってんのか?」 森崎さんと蜂谷さんがベットに腰かけた。 青空さんは吐き気を催した久弥さんを廊下に連れ出し、休憩コーナーの椅子に座らせ背中を擦っていた。 「だから言ったろ?姐さんとオヤジの言うことは素直に聞け。これでよく分かったろ」 頭が混乱し頷くだけで精一杯の様子の久弥さん。顔が真っ青だ。 「俺がついてるから。心配するな」 青空さんが笑顔で頭をぽんぽんと撫でて明るく励ました。 「病院内は禁煙だ。しれっとして煙草を吸ってんじゃねぇよ。火災報知器が作動して水浸しになるぞ」 ぶいっとそっぽを向く樋口さん。 「まさかだと思うがクスリはやってないだろうな?」 蜂谷さんに聞かれ、 「根拠もないのに人を疑うとはな。これだから刑事とヤクザは大嫌いなんだよ」 「俺が元刑事だと何で知ってる?」 失言に気付きどきっとする義夫さん。 「そ、それは……そ、そうだ。聞いたんだよ。警察を辞めたのが三人いるって」 「正確には四人だがな。四人もいるのによく分かったな。さっきから気になっているんだが、なんで目を見て話さないんだ?やましいことでもあるのか?それにこの匂い。大麻だろ?違うか?」 蜂谷さんが義夫さんを鋭い眼光で睨み付けた。

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