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番外編阿部さん
「オヤジ、阿部と名乗る弁護士が来てますが」
「噂をすればなんとやらだな。通せ」
玄関からここまで一分も掛からないのに、なかなか現れなくて。心配した彼が迎えに行こうとしたら、
「おっさん、そっちじゃなくてこっちだ」
「こっちとはどっちだ」
「だから、客間はここだって。何回説明したら……ーー」
「良かった、着いた。遅くなりすみません」
頭を搔きながら一人の男性が姿を現した。
「未知は初めて会うと思うが彼が阿部だ。斎藤と吉村の上司だ」
「初めまして。卯月遥琉の妻の未知です」
姿勢をただしペコリと頭を下げた。
「阿部です。卯月さんと度会さんには常日頃から大変お世話になっています。いやぁ~~噂には聞いてましたが、噂以上に別嬪さんで驚いてます。私のほうこそよろしくお願いします」
頭を下げられた。
「挨拶はそのくらいにして。用件は何だ?」
「白雪ハツさんのことです。弓削さんは八月までこちらにはいないとハツさんから伺っています。でも弟さんがいると」
「久弥のことですか?呼びますか?」
「お願いしてもいいですか?」
彼が近くにいた蜂谷さんに久弥さんを連れてくるように頼んだ。
「阿部さん、いつも四季の味方でいてくれてありがとうございます。四季は俺にとって娘みたいなものですから、感謝しています」
「感謝だなんて。お礼を言うのは私のほうです。四季さんの側に卯月さんやヤスさんがいてくれる。それがどんなに心強いか」
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