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番外編彼のお祖父さん

「阿部さんは四季の両親のことはご存知ですか?」 彼の質問に対し阿部さんが、 「卯月さんはこころやすぎをご存知ですか?」 逆にそう聞き返してきた。 「やはり四季の両親は海堂と何らかの関わりを持っているということですか?」 彼の言葉にこの場に居合わせた幹部たちに一瞬、緊張が走った。 「察しがいいですね、さすがは卯月さんだ。私は四季さんの両親はこころやすらぎの会長である海堂に殺されたと今でも思っています。円谷も海堂の指示で動いていただけ。しょせんは使い捨ての駒にしか過ぎなかった」 「悪党のうえにはさらにたちの悪い悪党がいる。ソイツは海堂よりもずる賢く自分は決して表には出ず、裏で手下どもを操る。阿部さん、敵討ちする相手はおそらく俺らと同業者だ」 彼が心臓のあたりに手を置いた。 「殺されるかも知れないぞ。覚悟はいいのか?」 「七十近い年寄りの命が欲しければいくでもくれてやる。四季さんの両親の無念を考えたら痛くも痒くもない」

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