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番外編 悔やんでも悔やみきれないこと
「伊澤がサツに事情を説明し、真山の嫌疑は晴れ、無事に聡太のところに向かった」
「橋本さんは?」
「渋川が連れてくる予定になっている。留置場から出れることになった鈴木太郎を迎えに来るついでにな。素直に来るのか、とんずらするか、橋本次第だ」
「聡太くん、ママに会えるといいね」
「あぁ、そうだな」
彼の顔がぐいぐいと近付いてきて。腕のなかですやすやと眠る陽葵の寝顔に顔を緩ませると、
「みんなママが好きだからな。もちろん俺もな」
チュッと軽くおでこと頬っぺと最後に唇にキスをしてくれた。
「亜優はぐっすりだな。寝させてやろう」
「うん、そうだね」
「栄養ドリンクでも買ってきてやるか」
彼が立ち上がろうとしたら、
「△▲○▲#」
寝ているはずの亜優さんの声が聞こえてきた。
「紗智か那和がいればいいんだがな」
「バーバ、呼んだ?」
山のような洗濯物が入ったかごを両手で抱えた紗智さんが顔を出した。
「紗智、いいところに来てくれた。通訳を頼む」
「亜優は栄養ドリンクより甘いものが食べたいみたいだよ」
「そうなのか」
「買い物付き合う?」
「いいのか」
「欲しいものがある。高行さんにはちょっと頼みずらいもの。バーバも柚原も忙しいから、悩んでいた」
「気付かなくて悪いな」
「大丈夫。これ、大至急干してくる。バーバ、置いていかないでよ。絶対に待っててよ。置いていったら怒るからね」
「分かった。分かったから。慌てて転ばないようにしてくれよ。怪我をしたらもともこうもないからな」
紗智さんは大きく頷くと満面の笑みを浮かべて庭へと向かった。
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