3022 / 3587
番外編孝行息子たち
彼の背中が寂しそうだった。それに気付いた孝行息子たちが、
「バーバには俺たちがいるでしょ?」
「そうだよ。元気だして」
彼の腕に自分たちの腕をさりげなく絡めた。
「なんかこれアベックみたい」
「その言い方古いよ」
「そうかな」
紗智さんと那和さんが彼をぐいぐいと引っ張っていった。
「俺の亜優知らない?」
空耳かとも思ったけど、空耳でも聞き間違えでもなかった。
「どーした?そんなに驚くか普通」
「だって玲士さんが来るって一言も聞いてなかったから、その……」
「亜優に会いたいのに俺だけ置いてきぼりなんて絶対にやだからな。もしかしてそこにいるの亜優なのか?教えてくれてありがとう」
布団を捲ろうとした玲士さんに、
「亜優さん具合が悪くて寝ています」
「だったらなおさら看病が必要だろ?子どもたち、俺も混ぜてくれ」
玲士さんが子どもたちの隣に座った。
亜優さん、目が覚めたら間違いなく驚くだろうな。伴侶候補の玲士さんがいるんだもの。
「布団をくるくると体に巻き付けて。簀巻きみたいで可愛いな」
玲士さんが亜優さんの髪をそっと撫でた。
ともだちにシェアしよう!