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番外編孝行息子たち
渋川さんは律さんを止めなかった。組事務所から堂々と出ていこうとした律さんに、
「あ、そうだ。関東竜城会の元幹部が東京から来ているんだった。挨拶してくるか」
彼がよっこらしょと立ち上がった。
「どうした?顔色が悪いぞ」
「いえ、別に。なんでもないです」
「そうか。それなら別にいいが……」
彼がドアを開けるとそこにはコウジさんがいた。
「今、挨拶に行こうとしていたんだ。長旅ご苦労」
「卯月さん、すみません」
コウジさんが深々と頭を下げた。
「玲士に来るなと言うのが無理だ。どうせ息子のところだろう」
「大人しい玲士が卯月さんの婿がつとまるかオヤジが心配していました」
「うちは来るもの拒まずだ。なるようにしかならない」
コウジさんと顔見知りなのか、律さんの額は汗でびっしょりに濡れていた。
僕は詳しいことまでは知らないけど、半グレ集団だった関連竜虎会は九鬼総業に目をつけられ、九鬼総業の軍門にくださるよう迫られたが、当時の幹部たちは俺らは九鬼の飼い犬にはならないと拒否。怒り狂った九鬼は竜虎会を急襲。解散に追い込んだ。八年くらい前の出来事だ。
生き残った幹部たちやメンバーたちは縣一家や龍一家に助けを求め、そのままヤクザになった者もいると聞く。
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