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番外編新たな波乱の予感
「遥琉さん、不法侵入にならない?」
「渡辺がいるから大丈夫だ。裁判所が許可を出しガサ入れに入った。自宅にいた義夫にとってはまさに青天の霹靂。娘にしか眼中にないんだろう。自分に捜査の手が及んでいることにこれっぽっちも気付いていなかった。美容室に戻る間もなく関係先に一斉に捜査のメスが入った。心配するな、橘と亜優は別なところにいるから」
不安な気持ちを一掃するかのように彼が優しく微笑んでくれた。
ハツさんは隠し部屋の存在に気づいていたのだろうか。鍵が厳重に掛けられた四畳ほどの広さの部屋にはダブルベットがあり、窓がないかわりにエアコンが完備されてあり、ベット下の収納スペースからとんでもないものが見付かった。
「まさか切断した指をホルマリン漬けにしてコレクションするのが趣味なのがもう一人いたとはな。女性のものと見られる髪も見付かった」
あまりにも異様な光景に若い刑事さんが気持ち悪くなり吐き気をもよおしたみたいだった。
「義夫は部屋を借りたときにはすでにあったとサツに説明している。任意同行を求められたがそれを拒否し自宅にこもっている。罰当たりな連中だ」
彼も予期せぬことに驚いているみたいだった。
兄弟仲直りするため壱東さんが二人を岳温泉に連れて行ったと聞いたのはその日の夕方だった。
ーオヤジ、事後報告になってしまいすみませんー
「三人が無事ならそれでいい。鍋山、面倒をかけるが三人をよろしく頼む。たまには休みも必要だ。こっちのことは心配しなくていい。二、三日ゆっくりしてきたらいい」
アポなし予約なしで惣一郎さんと和江さんのペンションにいきなり押し掛けた鍋山さんたち一行を二人は「お帰りなさい」と温かく迎えてくれた。初対面にも関わらず優しく接してくれる惣一郎さんと和江さんに譲治さんと達治さんは面食らってしまってきょとんとしていたみたいだった。
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