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番外編新たな波乱の予感
「たまたまキャンセルが出たらしい。もし泊まれないときは親父たちのところに泊めてもらう予定だったみたいだ。コウジと玲士もしばらくここにいることになったから、未知、色々と面倒を掛けるがよろしくな」
「うん、わかった」
玲士さんは亜優さんと一緒にいれると小さくガッツポーズしていた。コウジさんは移動販売車に興味津々の様子でヤスさんに明日連れていってくれと頼んでいた。
ヨシユキさんは青空さんと蜂谷さんがとりあえず面倒をみることになった。びしびしとしごいて可愛がってやるか。青空さんが嬉しそうに不適な笑みを浮かべていた。
縁側に座りお茶を飲みながら庭を走り回る子どもたちを眺める彼と渋川さん。
「男運がこれほどまでにないとは……逃した魚は大きかった」
はぁ~~と深いため息をつく渋川さん。
「そう落ち込むな。真面目にやっていればそのうち損得勘定なしで心の底から渋川を愛してくれる男がきっと現れる」
「ぶっちゃけ兄貴の婿になれる玲士が羨ましい」
「まだ婿候補だ。これから先のことは当人同士に任せて俺らはなるべく口出しせず黙って見守るつもりだ」
「見合いでもするかな」
渋川さんがぽつりと呟いた。
「菱沼組の若いのと。こうして見るとみんな真面目そうでいい男ばかりだ。先手必勝とばかりに予約済みなのが癪に障るがな」
渋川さんは冗談を言っているようには見えなかった。
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