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番外編新たな波乱の予感
一人また一人と増えていって、気づけば彼の回りにほとんどの幹部が勢揃いしていた。
幹部たちにどれだけ睨まれても渋川さんはまったく気にしなかった。
「敵対する組の若頭補佐にも愛されるオヤジはやはりすごいな」
「なんだ今ごろ気付いたのか?」
「前から気付いていた。信孝も大変だな。裕貴に焼きもちを妬いて、渋川に焼きもちを妬いて、おちおちナオとゆっくりする暇もない。ナオに嫌われないか?」
「それを理解した上でナオは信孝の伴侶になった」
「俺も尊が帰ってきたら焼きもちをいっぱい妬こうかな。ハチ、ヨシユキは何をしているんだ?」
「さぁな」
蜂谷さんと青空さんは子どもたちとかくれんぼうして一緒に遊んでいた。
普段子どもと遊ぶ機会がないから、はじめてのことにどうしていいか分からず右往左往しているヨシユキさんを木の影からそっと見守っていた。
縣一家の人たちが来ていると若い衆から聞いた奏音くん。宿題を急いで済ませると、龍成さんの姿を探しはじめた。
「ごめんな、龍パパは来なかったんだ」
「そうなの」
彼に言われ、しゅんとして項垂れる奏音くん。
「でもな、奏音の弾よけになるかも知れないヨシユキが来ている。ヨシユキ、奏音だ、挨拶しろ」
彼に声をかけられた長盛さん。
「坊っちゃんはじめまして、ヨシユキです」
縁側まですっ飛んで来ると緊張した面持ちで腰を九の字に曲げ深々と挨拶した。
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