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番外編新たな波乱の予感
「ヨシとお呼びください、坊ちゃん」
初対面にも関わらず坊っちゃんと呼ばれた奏音くんは面食らいポカーンとしていた。
「ヨシしゃん、めっけ」
佐治さんと仲良く手を繋いだ幸ちゃんがちょっこりと現れた。
「あぁ~~思い出した!かくれんぼうしていたんだっけ」
「ヨシしゃん、おにだよ」
「鬼は何をすればいい?」
「隠れている子を片っ端から見つけるだけだ。難しくはない」
「もう~~いいかい、まだだよ~~。だよ、ヨシしゃん」
「分かった。任せろ」
「さっちゃん、かくれるよ」
幸ちゃんが佐治さんの手をぐいぐいと引っ張っていった。
何気に渋川さんを見たら、佐治さんに優しい眼差しを向けていた。
(あっ、もしかして………)
鈍感な僕にもなんとなくだけど分かったかも知れない。渋川さんが本当にすきな人が誰かということと、遊び人のふりをしているのも、そのひとに振り向いてもらうためということに。
「坊っちゃんも隠れてください」
「二十数えてて。まだだよ」
奏音くんが佐治たちのあとを追いかけていった。
「佐治はなんでなんでここにいるんだ?」
「菱沼金融の電話番はどうした」
「また仕事をさぼって、これだから若いのは」
幹部たちが怪訝そうに顔をしかめた。
「ごせっぱらをやくな。子守りも佐治の大事な仕事のひとつだ」
彼がまぁ、まぁ、と宥めていた。
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