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番外編新たな波乱の予感
「隠れるのみんな上手だな。参ったな」
十分近く庭を探しまわり頭を搔くヨシユキさん。蜂谷さんと青空さんと目が何気に合った。
「青空、鬼な」
「あ?」青空さんが喉の奥から唸り声をあげた。
「客人には優しくしてやれ」
蜂谷さんに宥められ、
「たく、しょうがねぇな」
口ではそう言ったものの探すのが得意な青空さん。ものの数分であっという間に隠れていた子どもたちを全員見付けてしまった。
そんな青空さんに目をキラキラと輝かせるヨシユキさん。
「俺には尊という伴侶がいる。他をあたってくれ。渋川なんかどうだ?」
「俺にふるな」
「なんでだ。来るもの拒否せずウェルカムの癖に」
「男なら誰でもいいっていう訳じゃない。それにお前が思っているより節操なしではない」
「渋川、悪い。誰も信じないぞ、その言葉」
青空さんに言われ、はっと気付く渋川さん。
だよな、そうだよな。ぶつぶつと言いながらくしゃくしゃと指で前髪を搔いた。
「坊っちゃん」
玲士さんとコウジさんが息を切らし慌てて駆け付けてきた。
「だからなんでみんな坊っちゃんなのかな。ぼくはかなただよ。はずかしいから名前でよんで」
「そういう訳にはいきません」
「俺たちにとってあなたは大切な坊っちゃんですからそう呼ばせてください」
二人にじっと見つめられ、恥ずかしいのかささっと蜂谷さんと青空さんの後ろに隠れてしまった。
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