3045 / 3560

番外編新たな波乱の予感

「そだいっぺんに見たら、奏音が怖がるだろう」 奏音くんは照れている訳ではなかった。しばらく三人の顔を見たのち怯えたように口を歪めて涙は一滴も出さずに泣き出した。 「昔のことを思い出すからじろじろと見んなって説明しようと思っていたのに。奏音大丈夫だ。この人たちはりゅうパパが信頼している部下たちだから。奏音に危害を加えたりはしない」 蜂谷さんが腰を屈めて奏音くんの顔を覗きこみ頭を撫でると、蜂谷さんにしがみつきわぁーーっと大きな声を出して泣き出した。 「オヤジにぶっ殺される。俺らどうしたらいいですか?」 コウジさんたちがオロオロしていた。 「どうするもこうするも、東京に帰る前に慣れてもらうしかない。玲士と会ったことがあるのから大丈夫かと思ったんだが、やっぱ駄目だったか。奏音、飴ちゃんでも舐めるか」 青空さんがポケットから棒が付いた飴を取り出した。 「ありがとう」涙声で震えながらも受け取る奏音くん。 「かなたくん、おにごっこしてあそぼ」 一太が機転をきかせて奏音くんに声を掛けた。 「ヨシユキさん、おにさん役、お願いします」 「俺?」 きょとんとするヨシユキさん。 「はい。おてやわらかにお願いします」 ペコっと頭を下げると、わぁーにげろーと言いながら一斉に子どもたちが走り出した。

ともだちにシェアしよう!