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番外編自分の気持ちに向き合う勇気
鬼ごっこして遊んだあと、今度は幹部や若い衆たちも巻き込み、スイカ割り大会が賑やかにはじまった。スイカはヤスさんが準備してくれた。
「渋川、お前もやってこい」
「俺は遠慮しておく」
「そう言わずに」
「あ、そうだ、急用を思い出した。帰るな」
「渋川」
まるで逃げるようにして帰ろうとした渋川さんに彼がドスのきいた低い声で声を掛けた。
「いつまでそうやって自分の気持ちから逃げてんだ?」
彼に言われどきっとする渋川さん。
子どもたちが歓声をあげてスイカ割りをしている様子をじっと見つめた。
「子どもたちが終わったら大人たちの番だ。目隠して、一人背負い、二人で協力してスイカ割りをする。渋川、佐治が待ってるぞ、行ってやれ」
背中をそっと押した。
「なんで渋川と俺なんだ?」
「オヤジの命令だ」
蜂谷さんに言われ、渋々ながらも渋川さんの背中に乗る佐治さん。
「意外と重いな」
「う、五月蝿いな。渋川、どさくさに紛れてケツを揉むな」
「揉んでない。ポケットに何かあるんだ」
「それ、多分、一太くんからもらった飴だ」
「なるほどな」
なんだかんだいいながらも二人はなかなかいいコンビだ。
落とされないように首にしがみつく佐治さん。渋川さんも佐治さんを落とさないように片手で腰をしっかりと支えて、 もう片手の手で棒を持った。
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