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番外編自分の気持ちに向き合う勇気
「みんな楽しそう」
「そうだな」
小玉スイカだからなかなか棒が当たらない。
「渋川、左。やっぱもうちょい右」
「どっちだよ」
渋川さんはイライラしながらも、嬉しそうに口元が緩んでいた。
「オヤジ、たった今連絡があり鈴木が東京駅に着いたそうです」
若い衆が小声で彼に耳打ちをした。
「そうか」
【神政会の幹部が鈴木にすぐに接触し、一緒に駐車場に向かった】ひろお兄ちゃんからメールが送信されてきた。
鈴木さんは宇賀神組を監視するために本部をから送り込まれてきたスパイだった。渋川さんから得た情報を本部に流していた。
槇島を破門にし、渋川を若頭に昇進させ、昇龍会の傘下に入る。全部石山さん側に筒抜けだった。シノギを稼ぐために高齢者を言葉巧みに騙し全財産を巻き上げていた。
「男たらしの渋川を騙すなど赤子の手をひねるくらい簡単だっただろうよ。菱沼組の縄張
りで詐欺をやれば、当然サツに疑われるのは俺らだ。自分らはその隙にまんまと逃げる魂胆だったんだろうよ」
メールがまた送信されてきた。誉さんと接触した。尾行に気付かれまかれた。引き続き石山の動きを監視する。そんな内容だった。
「ねぇ遥琉さん、石山さんには本命の彼女さんがいるんだよね?」
「石山ほど何を考えているか分からない男はいない。本命なんだかよく分からないが三人の綺麗どころをいつも侍らせているのは確かだ。ソタイとマトリにマークされて身動きがとれない。だから誉と鈴木を使い違法な手段で荒稼ぎしている」
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