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番外編自分の気持ちに向き合う勇気

真夜中、ぽっかりと目が覚めた。 陽葵を寝かし付けながらいつの間にか寝てしまったみたいだった。 いつもの布団で目覚めたはずが、普段とは様子が違っていた。というのも隣にいるはずの陽葵がいなくて、なぜか身動きが取れなかった。 寝返りも打てないなんて。 寝ぼけ眼で周囲を確認し、彼に抱き締められていることに気付いて即座に覚醒した。 陽葵は隣の布団でお手手を万歳してねんねしていた。 彼が移動してくれたのかな。そろりと彼の寝顔に視線を向けた。彼の寝顔をこうして見るのは久し振りかも知れない。寝ないで彼を待っていようと思っていても、結局眠気には勝てなくて。いつも彼より先に寝てしまう。 こうして目を閉じていると本来の迫力がなりを潜め、ただただ恐ろしいほど整った顔が目に飛び込んでくる。 睫毛長い……。 髪もそっと触りたくなるほどに艶やかだ。もしかしてシャンプーを変えた?いつもと匂いが違う。手を伸ばし髪に触れようとしたら、 「俺を寝せない気か?」 ふいに彼が目を開けたからびっくりした。距離にして十センチもない。思わずぎゃっと叫んでしまった。 「そんなに驚くか?」 「だって、遥琉さんが隣にいるから」 「未知の隣は俺専用だろ?俺はいつでも未知にねっぱっていたい。未知は?」 「僕も遥琉さんとねっぱっていたい」 「良かった。未知に嫌だと言われたらしばらく立ち直れないからな」 寝起きとは思えないくらい極上の笑顔と優しい声に心臓が飛び上がるくらいドキドキした。

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