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番外編自分の気持ちに向き合う勇気
「一太が髪を洗ってくれたんだが、シャンプーとボティーソープを間違えてな。試供品で貰ってきたシャンプーで洗い直してくれたんだ」
彼がぷぷっと思い出し笑いをした。
「いつもと匂いが違うのはそのせいだ。この俺が浮気するとでも思ったか?」
ぶんぶんと首を横に振った。
「いつも言ってるだろ?俺は未知一筋だって」
彼は上機嫌に、頬から顎、そして喉へと指を滑らせていく。
「は、遥琉さん、くすぐったい」
脇の下や背中やうなじ。弱いところを所構わず擽られ、大きな布団の上で転がりながら逃げ回ると、
「ちょ、も、止めて」
「暴れるな」
「だって遥琉さんが擽るからでしょ」
お返しとばかりに彼の脇の下を擽ると、
「こら、悪戯しないんだ」
冗談交じりに笑いながら押さえ込まれ、そのままゆっくりと体重をかけられた。
目と目が合って、いつの間にか笑い声はなくなっていた。静寂の中子どもたちの寝音だけが響いていた。
両手で頬を包み込まれ動けずにいたら、
「んっ……」
ちゅぷっとわざと音を立てて唇を吸われ頬が朱色に染まった。
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