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番外編自分の気持ちに向き合う勇気
「ん、んっーー」
絡めとられた舌に柔らかく歯を立てられたかと思えばそのまま甘噛みされ、下肢に甘い痺れが走る。かすかに響く濡れた音がなんとも淫靡だ。
彼にしがみつき、ぎゅっと目を閉じると、口内に挿ってきた舌に、上顎をツッ……となぞられた。
「っん、んん、……っーー」
次から次に湧き上がるむず痒いような感覚に全身が震える。混ざりあった体液を夢中で飲み込めば、まるで体の中までも彼に撫でられているようだった。
ややあってくちゅっと小さく音を立てて、唇が離れた。まだキスしかしていないのにもう体に力が入らなかった。ぐったりと身を横たえたまま潤んだ瞳で見上げると、大きな手で何度も優しく髪を梳きあげられた。
「ったく……」
切なげに眉を寄せた彼と視線が合った。
「我慢しようと思っていたのに。煽ってどうするんだ?」
「え……?」
悔し気な表情を見せる彼にどんな顔をすればいいか分からないでいると、ゆっくりと体を離した彼に、あれよあれよという間にパジャマを脱がされ、恥ずかしい個所を隠そうと身を捩ろうとしたら、「ありのままのきみを見たい」と彼の力強い手に阻まれた。
「オヤジの名言がまた出たな」
「なにが名言ですか」
「橘、待て」
柚原さんの制止をふりきり、橘さんが部屋に入ってきたものだからびっくりした。
彼は橘さんが来ることを予想していたのか慌てることなく、取り乱すことなく、足元にある毛布を手繰り寄せると体にそっと掛けてくれた。
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