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番外編自分の気持ちに向き合う勇気

「お取り込み中失礼します」 「コウジか?ずいぶんとまぁ、早起きだな」 「オヤジから卯月さんに電話を掛けても繋がらない。何かあったのかと電話があって叩き起こされました」 「子どもたちが夜中に何度も起きていたから電話に気付かなかった。すまん」 彼が笑いながら頭を掻いた。 橘さんは苦笑いを浮かべていた。 「おおかた犬猿の仲の上田と石山が密会でもしていたか?」 「はい。その通りです。公安の監視の目を潜り抜け、臨海公園に隣接するホテルで」 「上田も石山もシェドも同じ穴のむじなだからな。クスリできめて乱パーでもしていたか?」 「参加していた女は少なくても五人。みなシェドのお気に入りの女たちばかりです。ただ一人だけ初めて見る女がいたみたいです。サングラスとマスクで顔を隠してはいたものの、言葉の端々に福島訛りがあったと。もぅ~~うっちゃしいなぁとか、だいじとか、 好きだっちゃとか、そんなことを言っていたみたいです。オヤジの話ではシェドの新しい恋人ではないかと。まだホテルに滞在しています。誉と太郎も一緒にいるみたいです」 「そうか」 コウジさんから写真を見せられた彼。 「あれ?この女………」 白いワンピースを着た女性の後ろ姿しか写っていなかったけど、彼にはその人が誰かぴんと来たみたいだった。

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