3073 / 3595

番外編本部からの緊急召集

「もしかして……義夫さんと樋口さん?」 「信者らが違法薬物を売りさばいた金はマネーロンダリングされたあと最終的にシェドの懐に入っていた。それに手を貸していたのが義夫だ。義夫も娘に頼まれれば嫌とは言えないはずだ。今はパソコンがなくてもスマホさえあればなんとかなる。高額の報酬と美女がもれなくついてくる。となれば二つ返事でOK するだろう。借金はチャラ、美女もよりどりみどり選び放題だ。義夫は娘の仕事を手伝っているだけで犯罪を犯しているという罪の意識はこれっぽっちもなかったんじゃないのか。でも、うまい話しには必ず裏がある。気付いときには深い沼にどっぷりはまっていて抜け出すことが出来なくなっていた。金の切れ目が縁の切れ目とよくいうだろ?黒竜も教団もガッポガッポと儲かっていたときは仲が良かったが、当局の締め付けが強くなり儲かっているのは教団だけだ。義夫は黒竜ら犯罪組織に教団の金庫番としてマークされ、命さえも狙われるようになった。とまぁ、オヤジはそう見ている」 「愛する人たちを守りたいと、覃と宋が戻ってきた。譲治と若林が覃と宋のアキレス腱だと連中はすでに知っている」 「蜂谷さん、お願いです。地竜さんに東京にとどまるように伝えていただけませんか?いつもならすぐに電話に出てくれるのに朝からずっと留守電になっているし、メールだって送信したら秒で返信してくれるのに全然返信が来ないんです」 「地竜はオヤジと行動を共にしている。連絡がないということは二人とも無事だということだ。だから心配するな」 蜂谷さんがチラチラと柚原さんを見た。 柚原さんは首をぶんぶんと横に振り、両手で大きくバッテンマークをつくった。

ともだちにシェアしよう!