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番外編本部からの緊急時召集
「まぁ、いい。玲士みたく伴侶探しか?綺麗どこが多いからな、菱沼組は。いいか、顔で選ぶなよ。尻の引き締まり具合で選べ。それとな」
「覃、ストップ。ドン引きされているのが分からないか?」
玲士さんに言われ、覃さんがようやくその事に気付き、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「玲士さんから色々学べ。吸収しろ。オヤジから言われました。それだけです」
「ずいぶんと勉強熱心だな」
覃さんは与志之さんの目の動きをそれとなく観察していた。何かを隠していることにすぐに勘づいた。
「縣一家の組長は心が広いからな、滅多には怒らない。でもな、普段怒らない人間が怒るとスゴいぞ。与志之とかいったな。縣の目は節穴じゃないぞ。彼もなかなかの策士だ。これだけは先に言っておく」
覃さんがツカツカと歩きだした。
「ヤツの狙いは敵討ちと、洌崎組の再興だろう。洌崎組が解散に追い込まれたときヤツは海外に留学中で日本にいなかった。帰国して唖然としただろうよ。帰る家も組もなくなり、叔父貴もすでに亡くなっていたんだから。縣一家でいろんなことを見聞きするうち、うちの姐さんにねっぱっていれば黙っていても向こうから仇が来てくれる。そのことに気付き、自分も行きたいと遼成に直談判したんだろうよ。どうだ、オヤジの見立ては?」
「怖い人ですね、卯月さんという人は」
「オヤジは千里と同じ千里眼だからな。それに勘も鋭い。誰に聞いたか知らんが、洌崎組が解散に追い込まれたのはオヤジと姐さんのせいでもないし、誰のせいでもない。洌崎は自らの引き際を的確に見極めていた。甥には組に縛られず自由に生きてほしいと願っていたんじゃないか?」
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