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番外編本部からの緊急召集
与志之さんは鞠家さんに返す言葉もなかった。
元洌崎組の組員四人がやくざを辞めたら食いぶちがなくて家族を養えない。このまま一家心中するしかないと彼に助けを求めた。彼は快く四人を迎え入れ、鞠家さんと根岸さんに預けた。
「与志之、その四人が誰か分かるか?組を再興させたいのならそのくらい分かるだろ?」
鞠家さんが静かに切り出した。
「坊っちゃんは小さかったから覚えていないのも当然。見ないうちに大きくなられましたね」
肩を落としてから、再びぐいと引き上げたのはミツオさんだった。
年も近いし遊び相手としてちょうどいいと本家に引き取られ、五年と言う短い期間ではあったけど与志之さんに仕えていたミツオさん。まさか自分を忘れるとは思ってもみなかったみたいで失望していた。
「ごめん、海外暮らしが長かったからさぁ。誰だっけ?」
「ミツオです」
「ミツオ?」
不思議そうに首を傾げる与志之さん。本当に覚えていないみたいだった。
「他にも三人。ここにはいませんが、組事務所で会っているはずですよ。久し振りですと挨拶もしましたよ」
「そうだっけ?悪い、全然覚えていないや」
与志之さんがゲラゲラと笑いだした。
「オヤジと兄貴たちは俺達を余所者扱いせず平等に扱ってくれます。与志之さんが戻ってきていつか組を再興させてくれると信じて待っていましたが………」
そこで言葉を止めると、
「ガッカリだ。期待するだけ無駄だった」
深いため息とともにぽつんと呟いた。
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