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番外編本部からの緊急召集
「ヤス兄貴、佐治兄貴、待ってください」
慌てて追い掛けるミツオさん。
「置いていくわけないだろ。転んだら元もこうもない。だから急ぐ必要はない」
同世代ということもあり妙に馬が合うのか、いつも一緒にいる五人。青空さんを除いて、着ている服も髪型も背格好もそっくりだから、間違わないようにと特に気を遣う。
「白雪美容室のあたりをゆきうさぎ丸でうすらかすらしていたら、お客さんから面白い話が聞けた」
「青空からも面白い話が聞けるぞ」
「そうか、楽しみだな」
「俺もヤスに土産がある」
目をキラキラと輝かせ蜂谷さんたちの話を聞くミツオさん。与志之さんはそんなミツオさんをじっと見つめていた。
玲士さんが声を掛けようとしたけど、鞠家さんにそっとしておいてやれ、と止められた。
りょうお兄ちゃんから、玲士と与志之が迷惑を掛けていないかとメールが届いた。
大丈夫です。みんなと仲良くしています。と返信したら、その逆だろと間一髪入れずにメールが送られてきた。りょうお兄ちゃんはなんでもお見通しだった。
ー洌崎組の跡取りとして甘やかされて育ったからな。口だけは一丁前で礼儀というものを知らない。意気揚々と出掛けていったからな、出鼻をやはり挫かれたかー
くくくと愉しげに笑うりょうお兄ちゃん。
ー与志之にとっていい勉強になったな。玲士は?相変わらず亜優をしつこく追い回しているのか?ー
「それが亜優さんは根岸さんと伊澤さんと一緒にいることが多いので、近付きたくても近付けないみたいで、鞠家さんから聞いた話しですけど、遠くから羨ましそうに口を咥えて見ているみたいです」
ーそうかー
りょうお兄ちゃんが笑いの坪に入ったみたいでしばらく笑っていた。
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