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番外編 地竜さんと与志之さん
「鞠家、柚原、他愛もない世間話はこれくらいにして。本題に入る。洌崎与志之にいくつか聞きたいことがある。会わせてくれないか?俺から逃げ回っている理由を本人に会い、直接問いただしたい。急を要する」
地竜さんの声色が変わり険しい表情を浮かべた。すごく嫌な予感がした。
互いに一言も発することなく座卓に向かい合うようにして座る地竜さんと与志之さん。地竜さんは腕を前で組み与志之さんをじっと見つめていた。
「じろじろと見ないでくれるかな?生憎俺は男には興味はない。他をあたってくれ」
「へぇ~~そうなのか、初耳だな。こう見えても恋には一途でな」
「おっさん、あんた、何が言いたいんだよ。頭大丈夫?」
与志之さんが地竜さんを鋭い目付きで睨み付けた。
ふふっと地竜さんが笑った。
「何がおかしいんだよ」
語気を強め、声を荒げる与志之さん。
「覃の表の顔を知らないのか?」
「表の顔?」
「そうだ」
不思議そうに首を傾げる与志之さん。
「覃はここ一年バウンティハンターとして賞金首の男を追っていた。ソイツが日本に帰国したと聞いてあとを追いかけて来日した。ソイツはフェイク動画を流し結果的に一人の未来ある青年の命を奪った。男は法の裁きをうけずに逃げ回っている」
「その男が俺だっていうのか?」
「あぁ、そうだ」
「証拠は?」
与志之さんが余裕の笑みを浮かべた。
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