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番外編地竜さんと与志之さん
「もしかしてお前か?俺を探しているというのは。俺ってやっぱ優しいよな。探す手間を省いてやったんだから」
与志之さんがなにかに気付き、ピタリと笑うのを止め、ニヤリとほくそ笑んだ。
視線の先にいたのは譲治さんだった。
「譲治、ここには来るなって言ったはすだ」
「黒い蝶、ほら、そこ」
指差した先に黒い蝶が止まっていた。
「アイツ、確かお前のオンナだったな」
「それを言うなら未来の伴侶だ」
「あら、ちょっと!ここにもいい男がいるじゃないの!」
甲高い声とともに女性の格好をした宋さんがフーさんとウーさんを連れて姿を現した。
「………マジか。黄《フゥァン スァ》と变色龙《ビエンソーロン》は死んだはずじゃ……」
はっと息を飲み二人を二度見する与志之さん。
「何だ二人を知っているのか?」
「知っているもなにも……」
そこで言葉を濁す与志之さん。
フーさんとウーさんは一目見ただけで誰が与志之さんに化けているのか勘づいたみたいだった。中国語で地竜さんに何やら話し掛けた。
「譲治、ここは危ないわよ。あっちに行くわよ。黒いちょうちょ、鍋ちゃんが見つけたって」
宋さんがじゃあね、バイバイと手を振りながら、譲治さんの手首をむんずと掴むとそのまま安全なところへ連れていってくれた。
「姐さんも行きましょう」
蜂谷さんと青空さんに促され、自分の部屋に戻った。子どもたちが橘さんと紗智さんと那和さんと先に避難していた。
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