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番外編遥琉さんおかえりなさい

「未知、ただいま」 爽やかな笑顔で手を振りながら彼が帰ってきた。 「遥琉さん」 脇目も振らず彼の胸に飛び込んだ。 「良かった。無事で……」 広くて温かな胸はおひさまみたくポカポカしていて心地好かった。そのぬくもりに彼が帰ってきたことを実感してようやく安心することが出来た。 ごほん、ごほんと咳払いが聞こえてきて、ドキッとして顔をあげると、大山さんと目が合った。 「いやぁ~~噂通りラブラブで羨ましい」 「えっと、その……」 顔から火が出るくらい恥ずかしくなった。 「遥琉さん、大山さんがいるならいるって言って欲しかった」 拗ねながら小声で言うと、 「一緒にいると橘から聞いたろ?」 「あれ、そうだっけ?ごめんなさい。すっかり忘れていた」 えへへと笑って誤魔化した。 「菱沼組の姐さんは亭主以外眼中なし。これも噂通りだ」 大山さんが愉しげに笑っていた。 「遥琉さん、地竜さんは?」 「目に入れても痛くないくらいめんごい子分たちが一堂に会したんだ。たまには水入らずタイムがあってもいいだろう」 「与志之さんは?」 「事情を聞くために最寄りの警察署に連行されるみたいだ。本物の長盛与志之を探さないとな」 彼とそんな会話をしていたら、 「未知~~ヘルプ!」 と地竜さんの声が聞こえてきた。 「死、死ぬかと思った」 地竜さんが畳に這はいつくばりうめき声をあげていた。 「顔中キスマークだらけじゃねぇか。立てるか?」 彼が手を差し出すと、地竜さんが弱々しく首を横に振った。 「たく、しょうがねぇな」 面倒くさいと言いながらも、地竜さんの肩を支えてゆっくりと起こしてあげた。

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