3095 / 3639

番外編 遥琉さんおかえりなさい

大山さんは与志之さんが帰国前に金づるを見付けた。汗水垂らして働かなくても一生遊んで暮らせると当時交際していた相手に豪語していたことを話した。 「当時交際していたその相手が三日前に不法滞在先のシンガポールから日本に強制送還された。彼女は教団の元信者で、与志之に一方的に捨てられた腹いせに、幹部の女性と一緒に写っている写真を警察に提出した。それがこの写真だ」 大山さんがスマホを操作し伊澤さんに見せると、伊澤さんは唖然としてまじまじとその女性を見つめた。 「与志之は一緒に大陸に渡り苦楽を共にした年上の交際相手をあっさりと捨ててマッチングアプリで知り合った若い子に乗り換えた」 「女の恨みは怖いからな。自業自得だ。大山、白雪義夫の身辺を至急あたってくれ。行方知れずになっている女性がいるはすだ」 「どういうことだ?」 「あくまで俺の勘だが、白雪夫婦の娘はハツの娘じゃない。本当の母親は義夫の浮気相手だ。そして与志之の新しい彼女はおそらく九鬼小春じゃないか?」 「小春だと?彼女はまだ15歳だぞ」 「あり得なくはないだろ?」 ニヤリと不適な笑みを浮かべる伊澤さん。

ともだちにシェアしよう!