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番外編 40年前に起きた未解決事件
大山さんは東京へと戻っていった。
「義夫の身辺をもう一回洗い直すぞ」
彼がげきをとばしみんなを鼓舞していた。
ハツさんは依然として意識が戻らない。
「未知さん、ひとつ思い出したことがある」
エプロン姿で久弥さんが駆け込んできた。よほど慌てていたのか包丁を握ったままで。
「す、すみません。すぐに台所に戻るので見なかったことにしてください」
「大丈夫です」
「兄ちゃんがスマホでK市内で起きた未解決事件、殺人事件、迷宮入り事件、の三つのキーワードを入力して検索していたんです。それで僕も調べてみたら、過去50年の間で市内で起きた未解決事件は三件。どれも殺人事件でいまだに犯人は捕まっていません」
久弥さんに言われ、橘さんと一緒に検索をすると、四十年前に起きた当時小学四年の女児が殺害された事件がヒットした。遺体発見現場の写真を見た蜂谷さんと青空さんが驚いたような声をあげた。
「どうしました?」
「遺体が発見されたこの場所は安川農園のうしろにある池だ。ハツさんの実家のすぐ目の前だ。こんな偶然もあるんだと思って。いやぁ、びっくりした」
池は大半が埋められて猫の額ほどの広さしか残っていない。誰が安置したのかお地蔵さまが立っていると蜂谷さんが話してくれた。
四十年も昔に起きた事件を覚えている人はほとんどいなかった。
「和真の母親が起こしたとされる事件を知っている人もほとんどいないからな」
女児は三十代の男性と一緒に自宅方面に歩いているところを友人に目撃されたのを最後に消息をたっていた。
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