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番外編 紫さんの直感

「おっきいじぃじが来るまでにしゅくだいを終らせないと」 「ヤバい、終らないよ~~」 「はちやさん、青空さん、おんどく聞いて」 「よし、分かった」 一太と奏音くんに頼まれた蜂谷さんと青空さん。一緒に子供部屋に向かおうと立ち上がったら、 「俺も帰るか」 宋さんがむくっと体を起こした。 「一つ用事を思い出した」 青空さんをちらっと横目で見ると、 「羨ましいよ、お前が」 ぼそっと呟いた。 「欲求不満か?ワカと喧嘩でもしたか?」 「喧嘩はしていない。これは俺の問題だ」 すっと立ち上がり廊下に出る宋さん。 「一人で全部抱え込むなよ。宋には仲間がいるだろ?姐さんもいるだろ?話しくらいなら聞いてやってもいいぞ」 「青空に心配されるようじゃ、俺もおしまいだな」 微かに自嘲すると青空さんの肩をぽんと軽く叩いて、どこかへとふらりと出掛けて行った。 「追い掛けなくていいのか?」 「俺と覃が追い掛けたらよけいに拗れる。ややこしくなる」 地竜さんが覃さんをじろりと見た。 「十分触ったろ?離れてくれ」 「は、はい!」凄みのある目に気圧され、慌てて覃さんが地竜さんから離れた。 怒られたとでも思ったのかな?ふぇ~ん、ふぇ~んと口をヘの字に曲げて太惺と心望が急に泣き出した。 「おっかねぇ顔をするな、ほら言わんこっちゃない」 「たいくん、ここちゃんごめん」 地竜さんがごしごしとズボンで手を拭いたあと、太惺を抱き上げてあやしてくれた。

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