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番外編もし赤い糸があるなら

その頃玄関では、石井さんが置いていってくれた収穫したての山のような枝豆を枝から仲良く取る鞠家さんと紗智さん、それに橘さんと柚原さんの姿があった。 「26年前といったら俺たち兄弟が茨木さんに引き取られる前のことだ」 「その女のひとには会ってないんだ」 「実際に会ったことはないが写真で見たことがある。茨木さんは毎日小さな骨壺の前で手を合わせて線香をあげていた。娘さんですか?と茨木さんに聞いたら、女性の家族が遺体を引き取ることを拒否した。無縁仏にさせるわけにはいかない。誰かが供養してやらないと女性が浮かばれない。誰だって一人ぼっちは寂しいだろ?だから荼毘に付して女性の供養をしている。そんな答えが返ってきた。茨木さんは俺の親父も供養してくれていた。そんな茨木さんの背中を見ている自分も困っている人を助けたい。警察官になりたいと思うようになったんだ」 「茨木さんってバーバみたいだね。後ろ姿なんかそっくり」 「そうだな。茨木さんには感謝してもしきれない。俺たち兄弟は路頭に迷うことなくご飯だって腹一杯食べさせてもらい、大学まで通わせてもらった。警察官になれたのも茨木さんのお陰だし、紗智と出会えたのも茨木さんのお陰だし、もし茨木さんに介護が必要になったらそのときは俺が面倒みるって決めている」

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