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番外編明日は我が身
「散歩に行ってくると一時間前にここを出たきりなかなか帰ってこないので心配していたんです」
鍋山さんが彼に声を掛けた。
「根岸も伊澤も何か意図があっての行動だろう。鍋山、譲治が不安がっている。側にいてやれ」
「はい、オヤジ」
チラチラと三人組を見る鍋山さん。
「感動の再会をさせてやれなくてすまないな。積もる話しもあっただろうに」
「積もる話しなんてありません。怨み節を百回言っても足りません。あいつは裏切り者です。金の亡者です」
「ずいぶんとハッキリ言うな」
「相楽は次期組長の座布団を用意するから会長を撃ってこいと先々代の口車に乗せられ、王と石山にいいように利用されただけです」
「危ないな。ぶつからなきゃいいけど」
彼が心配そうにボソリと呟いた。
前もろくすっぽ見ずに友だちの男の子と競うように自転車をこぐ男の子がこっちに向かってきた。路肩に停めてある黒い車を避けようとしたとき電柱から突然出てきた三人組に驚き慌ててブレーキをかけたけど間に合わずそのままぶつかっていった。もう一人の男の子は間一髪衝突は免れたもののバランスを崩し転倒した。
「クソガキ、なにしやがる!」
「ごめんなさい」
男の子が大きな声で泣き出した。
「だから言わんこっちゃない」
彼が助けに行こうとしたら「ここは根岸と伊澤に任せよう」地竜さんと鞠家さんに止められた。
根岸さんと伊澤さんと近所のおばちゃんたちがすぐに駆け寄った。
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