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番外編明日は我が身

「おらの孫が悪かった」 一人のおばちゃんが頭を深々と下げた。 「謝ればそれで済まされるとでも思ってんのか?このスーツ高かったんだぞ。弁償してもらうかな」 いきり立つ男性たちに、 「おめさんらがいきなし出てきたらたまげだんだべ」 「ここは駐停車禁止だべ。ごだどころに車さ止めた人に言ったらいいべした」 「ごめんって謝ってんだからゆるしてやったらいいべした」 近所のおばちゃんたちが男性たちに怯むことなく負けじと加勢した。 根岸さんと伊澤さんが泣きじゃくる二人の男の子を宥めながら、 「警察を呼べばいいんだろう?」 そう口にすると、 「その必要はない」 逃げるように慌てて黒い車へ向かった。 「タン シャン」 伊澤さんが三人のうち一人の男に声を掛けた。王《ワン》劉帆《リュウホ》ではなく、何故かタン シャンと。 ギクッとして振り向く男。何で俺の名前を知っているんだ、顔にはそう書いてあった。 「やはりそうか。公安がお前さんを探しているぞ。相楽とまゆこの行方を聞きたいんだと。それと王《ワン》劉帆《リュウホ》。お前さんには紫竜の潜伏先を聞きたいんだと。十中八九間違いなくシェドと行動を共にいると思うが」 「サツを辞めたオッサンになにが出来る。いい気になっていると頭をこれでぶち抜くぞ」 上着の内ポケットに手を入れ銃を所持していることを匂わせた。 「まだ気付かないのか?」 「あ?」 タン シャンと伊澤さんに名前を呼ばれた男があたりをぐるりと見回すと、佐治さんの背後にいた男たちが一斉に車を取り囲んだ。 「くそ、公安か」 歯軋りをして地団駄を踏むタン シャン。 王《ワン》劉帆《リュウホ》を名乗っていた男は偽者だと気付かれ、逃げようとしたけど佐治さん足をかけられ転ぶと、あっという間に若い衆たちに取り囲まれた。

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