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番外編タンシャン

「チャラチャラしてふざけた野郎かと思ったが、やるときはやる男なんだと見直しました。あ、覃のことですよ」 「それが彼の仕事だ。大山、地竜を見逃してくれてありがとうな」 「見逃すもなにもここにいるのは死神のボスの地竜ではなく、優先生だろ!?それでいいんだよ。見た目と違い愛妻家で子煩悩で、子どもたちみんなから好かれていて。不本意だが地竜のことも見直した」 大山さんが苦笑いを浮かべた。 「県警のナンバー2にあたる、刑事部捜査第一課の管理官の佐瀬という男がいる。二年前K警察署の署長だった男だ。先月朝宮和真と四季夫妻のところに謝罪に訪れた。といってもうわべだけの謝罪だが。その帰りに同僚に撃たれて大怪我をした。退院したあと行方不明になりその後川岸から瀕死の状態で発見され、生死の境をさまよっている。佐瀬の過去を調べるにも上から睨まれてな。なかなか思うように動けない。度会、きみは顔が広い」 「何を言いたいか、だいたい分かった。大山、若井は優秀な警察官だったハチとタマを辞職に追い込んだ。佐瀬が裏で動いていたなら辻褄が合うな。臭いものには蓋だ。俺なりに調べてみるよ」 「感謝する」 大山さんが立ち上がり玄関へと向かった。 蜂谷さんと目が合うなり腰を九の字に曲げて頭を下げた。 「謝る相手が違う。四季も石垣も高橋もみんな佐瀬と若井と円谷のせいで人生を狂わせられた。その佐瀬と円谷を裏で操っているのはおそらく海堂だ。二の足を踏んでいるからこんなことになっているんじゃないのか?本庁から県警に派遣された城の真の目的はなんだ?」 蜂谷さんは大山さんを睨み付けた。

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