3133 / 3634

番外編タンシャン

「うわぁ~~出た!」 地竜さんがすっとんきょうな声をあげた。 「呼ばれたから顔を出してやったのに酷いな 誰も呼んでない」 「恥ずかしいからって隠すなよ。俺とボスの仲だろ?覃の居ぬ間になんとやらだ。未知、ボスを借りるぞ」 地竜さんを片手でひょいと軽々と肩に担ぐ宋さん。 「お前には若林がいるだろ。甘えたければ俺じゃなく、若林に甘えろ」 「何か言ったか?聞こえなかった。もう一回言ってくれ」 「しらばっくれんな。ちゃんと聞こえているだろうが。誰でもいいから助けてくれ!」 足をバタつかせる地竜さん。 「愛が重いとはこのことか。地竜モテモテじゃないか。良かったな」 「茨木さん、他人事のように言わないで下さい」 「上司と部下が仲がいい。これほど素晴らしいことはないだろう。上総も惣一郎も度会もそう思うだろう」 「茨木の言う通りだ」 お祖父ちゃん言われてようやく気づいた。お義父さんたちが戻ってきたことに。 「ものはついでだ。白雪ハツさんの見舞いに行ってきた。依然として意識不明のままだ。今後の治療方針について説明するからと再三にわたり呼び出しても夫がまったく来ないと担当医師が嘆いていた」

ともだちにシェアしよう!