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番外編タンシャン
「嘆いていたといえば、白雪義夫になぜか逮捕状が出ない。このまま逃げ得を許すのか。上層部は何を考えているんだと大山が嘆いていたな」
蜂谷さんが何気に発した一言に、
「そういえば湯山のときも、何故に逮捕状が出ないとおやっさんが嘆いていたな」
お祖父ちゃんもぼそっと呟いた。
「ようするに湯山と義夫が逮捕されたら非常に都合が悪い人物がいる、ということだろうよ。ハチは城という刑事を知っているのか?」
「あぁ。和真の祖父の一宮さんも元警察官で、警察学校の教官をしていた。鬼教官としてかなり有名だったみたいだ。教え子は大勢いる。城さんも佐瀬さんも警察学校のときの教え子だったか、第一線で活躍していたとき部下だったか。そのどちらかだと思う。何せ三十年も昔のことだから。まだ五歳かそこらだったから」
「そうだな。みんなハチと同世代だったな」
彼がクスリと笑った。
「昔のことは親父や茨木さんや度会さんたちに聞かないと分からないことばかりだ。姐さんにとっては産まれる前のこと。話されても困るし、話しについていけないですよね。あっぱぐち開けてて、すごく可愛いです」
蜂谷さんがクスリと苦笑いを浮かべた。
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