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番外編 つかの間の夫婦水入らずのひととき
彼が子どもたちを寝かし付けてくれているうちにお風呂に入ろうと、脱衣所で服を脱いでいたら、がらっと浴室のドアが開いて彼が顔を出したからびっくりした。
「悪いな、驚かせるつもりはなかったんだ。未知、髪を洗ってやろう」
「自分で洗えるから」
「俺がやりたいんだ。たまにはいいだろ。ぐずぐずしていると陽葵が起きる。地竜だってそのうち帰ってくる。モタモタしていると、俺が脱がせるぞ」
力では敵うはずないし、余計な刺激もしたくない。彼に背を向けると、面白そうに彼が見ていた。
「手伝うか?俺は脱ぎ終わったぞ」
服をぽんぽんと脱いであっという間に裸になる彼。
「先に入ってていいよ」
「一緒に入ろう。逃げられても困るし」
「逃げるわけ……」
ないとは言えないから困ってしまう。風呂に入ろうとして陽葵の泣き声がして、彼を置き去りにしたままあわてて服を身に付けて寝室に戻ったことも数知れず。
橘さんと柚原さん隣の部屋にいるから大丈夫と言われても、一人起きれば双子もなぜか起きてしまう。
「一人で入ってもつまらない。愛する妻と一緒に入るからこそ意味がある。さぁ、行くぞ」
彼が扉を開けて、手を引かれて浴室に一緒に入った。
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