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番外編 つかの間の夫婦水入らずのひととき

大きな浴槽の湯はぬるめでゆっくり浸かれそうだ。熱い湯が苦手な僕にとってはありがたい。彼の膝の上にちょこんと座り肩まで浸かったところでほっと吐息を漏らした。 「ぬるすぎないか?追い焚きをするか?」 「ううん、大丈夫。このくらいがちょうどいい そうか。それならいいが」 彼が両手でお湯を掬うと肩にかけてくれた。 「朝からいろいろあって疲れただろ?お疲れ様」 「遥琉さんこそお疲れ様」 首筋にちゅっと軽く口付けられ、こそば痒くて体を捩らせると、 「暴れると落ちるぞ」 彼の腕が腰に回ってきた。もう片方の手はお尻のあたりを行ったり来たりしていて、それがまたくすぐったくて。 「だから暴れるなって」 だって、遥琉さんが変なところをくすぐるから くすぐっていないだろ?触っているだけだろ お尻をグニャリと掴まれ、 「やんっ」 思わず変な声を漏らすと、 「夫冥利に尽きる。たまらん」 彼がにっこり笑うと、おでこや頬っぺたや耳朶、あちこちにキスをしてきた。 「未知の髪は猫っ毛だからそっと優しく洗わないとな」 お風呂はいつも烏の行水。髪を洗っていると子どもたちが決まってママって呼びに来るからさっと洗って、さっとシャワーで洗い流す。ドライヤーで乾かしている暇もない。 「大丈夫だよ。ガシガシ洗っても」 「そうは言ってもな」 互いに互いの髪を泡まみれにして洗いっこしていると、ガラリと扉が開いたものだから一瞬固まった。 パパばかりズルいとでも言っているのかな? 太惺がこれでもかと頬っぺたを膨らませながら、服を着たまま入ってきたから驚いた。

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