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番外編 つかの間の夫婦水入らずのひととき
「床が泡だらけでつるつるだ。転ぶと危ない。太惺ストップだ」
ストップと言われても太惺にはおいでとしか聞こえないみたいで、キャキャとはしゃぎながら近付いてきた。
太惺が来たということは心望も付いてくる。ということだ。
「速攻で寝かし付けたはずなのに。おかしいな」
「みんなママが大好きですからね。パパ、ひとりじめは駄目だと言ってるのでしょうね。きっと。ひまちゃんとハルちゃんはぐっすり眠っています。着替えを持ってきますね。二人をお願いしますね」
橘さんの声が扉の向こう側から聞こえてきた。
「太惺、心望、ママが大好きなのは分かる。パパもママが大好きだからな。それは分かるんだが、パパもたまにはママとゆっくり風呂に入りたいんだ。だから一回くらいはお利口さんにして寝ててくれると、パパ、すごく嬉んだが」
「一歳児相手に何を訳の分からないことを言っているんですか?あなたは」
やれやれとため息をつきながら橘さんの声が聞こえてきたらどきっとした。
「着替えとバスタオルここに置いておきます。地竜さんが帰ってきたので、未知さんは先に上がったらどうですか?地竜さんが乱入してくると収拾が付かなくなりますよ」
「はい」と返事すると、
「はぁ~~い!」
「あ~~い!」
僕につられて太惺と心望が両手をあげて大きな声で返事をした。
「二人ともお返事が上手ですね。偉いですよ。それに比べて遥琉、あなたは」
「大人気ないってだろ?可愛くなってだろ?偉くないってだろ?いちいち言われなくても分かってるよ」
なにやらぶつぶつと独り言を言いながら、シャワーのお湯で泡を洗い流してくれた。
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