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番外編 人は見かけによらぬもの

「二時間近く待ったが結局現れなかった。ちょうど安川さんたちがいていろいろ話しをしていたらすっかり遅くなった」 「でも収穫はあった」 根岸さんと地竜さんが宋さんの隣に腰を下ろした。 「客人とはいえ身内も同然。遠慮せずともオヤジの隣に座ればいいのに」 幹部の一人が声を掛けた。 「すっかり馴染むまでには時間がかかる。人見知りだからここで十分だ」 「へ!?」 声を掛けた幹部が呆気に取られ、返答に困ってしまった。 「未知や四季だけでなくお前も人見知りだということをはじめて知ったぞ」 「人は見かけによらぬものとよく言うだろ」 「それはそうだが。それはそうとどんな収穫があったんだ?まさか集会所をたて壊した時に地中から人骨が出てきたとか。小説やドラマでもあるまいし、そんなことがあるわけないか」 当てずっぽうに言ったつもりが、 「なんで分かった?さすがは卯月だな。何でもお見通しだな」 地竜さんが舌を巻いた。安川さんの話しだと集会所が建てられた場所にはもともと溜め池みたいなのがあったみたいで昭和四十年代に埋め立てて集会所を建てた。 そのとき、 「オヤジ大変です」 若い衆が息を切らして駆け込んできた。 「どうした」 「鷲崎組の組事務所に発煙筒が投げ込まれました。消火作業にあたった若いのが手に火傷を負ったものの、被害は最小限に抑えられたみたいです」 鷲崎さんの留守を狙われたみたいだった。七海さんは自宅にいたから無事だった。 でもそれだけでは終わらなかった。

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