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番外編人は見かけによらぬもの

「宇賀神組の組長が普段使っている車にも発煙筒が投げ込まれました」 「裏切ったらどうなるか分かるだろう?次は命がないものと思え、か。お年よりは大事にしないと駄目だろうが。ストレスが溜まりに溜まって髪は真っ白になるわ、円形脱毛になるわ、挙げ句に顔面神経麻痺になるわ。宇賀神が不憫でならない」 若い衆の話だと、車に乗っていた宇賀神さんは無傷だったものの、運転手と弾よけの男性が大火傷をして病院に緊急搬送された。 「弾よけが体を張って組長を守ったみたいです。恐怖心を植え付け意のままにコントロールするつもりでしょうね」 「それが連中の常套手段だ。次に狙われるのは間違いなく菱沼組だ。気を引き締めて警備にあたってくれ」 「はい!」 若い衆が急いで持ち場へと戻っていった。 「紫竜はごく最近影武者でもある側近の男を粛清した。唯我独尊、裸の王さまである紫竜に対し唯一物申せる男だった。彼を粛清したことにより急速に求心力が低下している。黒竜が内部分裂するのも時間の問題だ。紫竜は部下の信用を取り戻すためにかなり焦っている。そのうち飼い犬に手をかまれるんじゃないか」 地竜さんが表情ひとつ変えず淡々と言葉を紡いだ。 「男が造反すると嘘の噂を鵜呑みにした。真偽をろくに調べもせず速攻で首をはねた。問答無用だ。次は王の番か、シェドの番か。高みの見物をするのもなかなか悪くないぞ」 宋さんがニヤリと笑った。

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