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番外編 不可解なことばかり
「寝ようとうとうとしていたら、たいくんとここちゃんの足が顔に飛んできてすっかり目が覚めてしまった。みんなそれぞれ面白い寝相で寝ているからシャッターチャンスだと思い撮影したら、見事にピンボケしてしまって。それに赤い線は入るしまるで心霊写真みたくなってしまった」
ぴょんと跳ねた前髪を手で直す地竜さん。いつもは彼と同じでオールバックしているからか、前髪を下ろしている姿に見慣れなくて。意識しないようにすればするほど逆に意識してしまい、どきどきしてしまう自分が恥ずかしかった。
「写真を見せてもらっていいか?」
「笑いの種にしないと約束してくれるなら見せてやってもいいが……」
「誰にでも失敗の一つや二つはある。最初から上手く出来っこない。子どもたちはきっとしていないから、撮影するのも一苦労だもんな」
「送るから笑うなよ」
「笑う訳ないだろ」
念を押したあと、地竜さんが彼の携帯に撮影した写真を送信した。
「なかなか上手いじゃないか」
「そうか!?」
「これか、心霊写真っていうのは……」
携帯を操作していた彼の手が止まった。
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