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番外編不可解なことばかり
「確か、ここにここに虫眼鏡が引き出しに入っていたような」
机の上に置いてある小物入れのなかをがさがさと探す彼。
「あった」
虫眼鏡を取り出すと携帯の画面を凝視した。
「やっぱりそうだ」
彼がぼそりと呟いた。
「天井に黒いものがひょっこり出ているような気がして、画面を逆さまにしてみた。ほら、髪の長い女性の顔が写っているだろ?」
地竜さんが急いで自分の携帯を確認した。
「あやみか花か望実だろうよ。きっと。惨たらしい死に方をしたんだ。そう簡単には成仏することが出来ないだろうよ」
彼の言葉に背筋がゾクゾクト寒くなった。
「仏壇に行ってくる。譲治さん、女の人を見たって話していたから詳しいことを聞いてくる」
「譲治は怖いものがまるっきり駄目だ。紫さんに聞いたほうがいいかも知れない」
「子どもたちに害はないのか?」
地竜さんが心配そうに眉をひそめた。
「両手を万歳して眠る子どもの寝顔はまさに天使だ。疲れも一瞬で吹き飛ぶ。癒しのもとだ。彼女も俺ら生身の人間と同じなんじゃないか。敵意とか憎悪とかそういった類いのものは不思議と感じられない。たまたま偶然寝ている子どもたちを見ていたら写真に写り込んだのだろう」
「なるほどな」
納得し頷く地竜さん。まさかこんなことが起きるなんて、誰も予想していなかった。
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