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番外編不可解なこと
二台の携帯の写真を何度も見比べる二人。
「樋口さんはやはり被害女児の……」
橘さんは樋口さんの正体に薄々勘づいていたみたいだった。
「未知さんや、これも身から出た錆。義夫を助けようとはこれっぽっちも思わないが、誰か若いのを義夫のところに向かわせてくれ。最後くらい見届けてやろうや」
「会長、お客さんです」
ヤスさんが度会さんを呼びにきた。
「朝一番で会う約束、誰ともしてねぇぞ」
「会えば分かりますよ」
度会さんはヤスさんと一緒に外へ向かった。彼も佐治さんに呼ばれ外へ向かった。
紙袋をぶら下げ目深にフードを被って、門扉の前に立っていたのは樋口さんだった。フードを外すと、度会さんの顔をじっと見つめた。
「三日前さいちゃんが夢に出てきて、最後に親切なお巡りさんに挨拶をしてから帰るね、なんのことか意味が分からなかったけど、やっと分かった。度会さん、あなたのことだったんですね。さいちゃんを冷たい水のなかから見付けてくれてありがとうございます。あなたがさいちゃんを見付けてくれなかったからさいちゃんは永遠に見付からなかった。それだけじゃない。義夫を犯人だと疑い捜査をしてくれたんですよね。でも義夫は警察幹部と深い付き合いがあり逮捕することが出来なかった。さいちゃんの仇は取りました。思い残すことはありません。これから自首します」
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