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番外編大山さんと若井さん
「正義のヒーローぶって、優越感に浸って。これだからサツは嫌いなんだよ。撃てるもんなら撃ってみろ。出来ないのかよ」
若井さんの挑発に大山さんは乗らなかった。若井さんを撃てば、どこかに潜んでいる若井さんの仲間が樋口さんを撃つのが分かっていたからだった。
「紫竜から幹部の椅子を用意しておくから、地竜と樋口の首を取ってこいと言われのか?それとも……」
「黙れ!さっきから人が黙って聞いていればいい気になりやがって。これだから年寄りは嫌いなんだよ」
「悪かったな頭の固い年寄りで」
そのときパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。
「やっと若井のお出ましか。良かったな、ようやく本物に会えるぞ」
大山さんは捜査車両に樋口さんを乗せるように他の捜査員に指示をした。
銃口を若井さんに向けたまま牽制する大山さん。パトカーが到着し、自らも車両に乗り込んだ。その直後、パン、パン、パン、と乾いた声が三回、続けて聞こえてきて。若井さんがばたっとその場に倒れ、大山さんが乗った車両の後ろの窓に蜘蛛の巣状のヒビが入った。
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