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番外編大山さんと若井さん
「子どもの時の記憶なんてほとんど覚えていない」
「あれ、変だな。弓削に初めて出会った日のことと弓削の肌のぬくもりと心臓の音は不思議と覚えいる。頭から離れないと言ってなかったか?」
「会長、お口チャックです。それ以上は勘弁してください」
顔を真っ赤にしてヤスさんが慌てていた。
「なんだかんだいって、お前ら相思相愛じゃねぇか。お似合いの伴侶じゃねぇか」
ぼそりと小声で呟く度会さん。
「会長、何が言いましたか?」
「いや、なにも言ってないぞ。気のせいだろ?」
「そうですか?」
不思議そうに首を傾げるヤスさん。まさか自分のことを言われているなんてこれっぽっちも思っていなかったみたいだった。
数時間後。
「そうか、分かった」
大山さんから連絡をもらった彼。
「まともじゃない連中だとはなから分かってははいたが、まさか本当に通りのど真ん中でドンパチをおっぱじめるとはな」
若井さんは自分の偽物に躊躇することなく発砲した。若井さんの偽物も負けじと発砲した。のどかな日常が一変。静かな住宅街は一時騒然とした。
口を真一文字に結び険しい表情を浮かべる彼。聞くのが怖かったけれど、樋口さんの身になにか起きたのだと直感で感じた。
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