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番外編大山さんと若井さん

「ハツさんは義夫にとどめを刺すつもりだ。だから、見舞いに来た久弥と根岸を厄介者払いした。こら、地竜、こっちに来るな。暑苦しい」 「失礼な奴だな。それはこっちの台詞だ」 疲れた。五分だけ寝る。膝を貸してくれ。彼が膝枕でごろんと横になると、地竜さんが俺も、と乱入してきた。 右側は彼、左側は地竜さん。二人とも背中を丸め、寝ると口では言いながらも、にこにこと嬉しそうに頬を膝にすりすりしていた。それがちょっとくすぐったくて。我慢するのが大変だった。 「こんな状況でも未知さんを取り合って仲良く口喧嘩が出来るんですから、本当に仲が宜しいですね」 「嫌味か」 「嫌味ではありませんよ」 陽葵を抱っこした橘さんが様子を見に来た。 「泣きもせずじっと天井をみつめていたみたいです。お兄ちゃんとお姉ちゃんと目が合うなり泣き出したそうですよ」 「橘、頼むからこの状況で陽葵を渡すとか、それだけは勘弁してくれ」 「首も座っていないひまちゃんを渡すわけありません。ただ、たいくんとここちゃんが」 「たいくんとここちゃんがなんだ?」 「パパ」「パパ」と連呼しながら二人が駆けてきて、 「うわぁ~~」 太惺は地竜さんに、心望は彼に勢いよく飛び込むとぎゅっと首に抱き付いた。

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