3167 / 3632
番外編 未来を打ち鳴らす鐘
ーバーバとマーは僕たち兄弟の未来の希望を打ち鳴らす鐘のようだ。バーバとマーの明るく朗らかな響きが、僕たち兄弟の暗い心を踊らせてくれた。バーバとマーは死の淵から僕たち兄弟を助けてくれた。二人に出会えて本当に良かった。紗智がオヤジと姐さんの話をするときの顔がすごく可愛いですよ。紗智を俺の伴侶にと紹介してくれた茨木さんの眼力は恐るべし。やっぱり茨木さんは縁結びの神様だ。もちろん姐さんもですー
ごほんと一回咳払いをしたのち、マーと小声で呼ばれて。斉木みたく俺も姐さんをマーさんと呼びたい。と照れくさそうに話してくれた。
「鞠家さん、ミツオさんたち、与志之さんに会えたんですか?」
ーいや、それが……ー
急に歯切れが悪くなる鞠家さん。
「もしかして何かトラブルでも起きたんですか?」
ー察しがいいな。さすがは姐さんだ。会えないから後ろ姿だけでも一目でいいから見せてほしいと甲崎に頼んだんだが……ー
そこで言葉を一旦止めると、はぁ~~と深いため息をついた。
「マー、電話高行さん?」紗智さんがすっと静かに現れた。鞠家さんを驚かせるつもりなのかな。唇の前に人差し指を立てると悪戯っぽく笑った。そして深呼吸をしてから、
「高行さん」
携帯に向かって大きな声で話し掛けた。
「マー、誰も出ない」
「そうだね。応答がないね。どうしたんだろ?」
もう一度鞠家さんの名前を呼ぼうとしたら、
ー紗智、悪いが鞠家はトイレだ。ちょっと待っててくれ。未知、久し振りだな。俺に内緒で未知に電話するとはな。いい度胸をしているー
苛立ったひろお兄ちゃんの声が携帯から聞こえてきた。
「ひろお兄ちゃん、お願いだから喧嘩だけは駄目」
ー頭では分かっているんだが……心や未知のことになるとどうも自制がきかなくて。参ったー
ひろお兄ちゃんが苦笑いを浮かべた。
ともだちにシェアしよう!