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番外編 彼も地竜さんも子煩悩
遥香たち三人に絵本を読んであげる地竜さん。お腹がいっぱいで、暑すぎず寒すぎずちょうどいい温度で、ぽかぽかと日差しも心地よくて。地竜さんの声が子守唄代わりになり五分もたたずにあっという間にくたりと寝てしまった。
「橘、悪いがタオルケットはあるか?」
「すぐに持ってきます」
「柚原、たいくんとここちゃんが畳の上で寝てしまった。顔に畳の跡がついてしまう。長座布団に移動したい。手伝ってくれないか?」
「分かった」
子煩悩な地竜さん。子どもたち全員、大きい子から小さい子まで分け隔てなく可愛がってくれるからみんな地竜さんが大好きだ。宋さんと覃さんがたまにきめっこして焼きもちを妬くくらいに。
「ひまちゃんもそろそろねんねかな。那和、ひまちゃんを寝かし付けるから、先にご飯を食べてしまえ。未知、きみもだ」
目を擦りぐずぐずし始めた陽葵にいち早く気付いた地竜さん。子守唄を口ずさみながらゆらゆらと優しく体を揺らすと、陽葵は指をしゃぶりながらあっという間に寝てしまった。
「柚原いつもありがとう」
「藪から棒になんだ?」
「たまには礼の一つくらい言いたくなった。それだけだ」
橘さんが戻ってくると何事もなかったように陽葵を長座布団の上にそっと寝かし付けてくれた。
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