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番外編彼も地竜さんも子煩悩
「鷲崎組と宇賀神組を急襲したみたく手榴弾を所持している可能性が高い。廃ビル内で照明弾を組事務所に向けて狙い撃ちする可能性も十分ありえる。橘、柚原、留守を頼んだ」
そこへ彼が姿を現した。地竜さんと同じように防弾チョッキを着用し、上着を肩に担いでいた。
「未知、留守を頼んだ。絶対に帰ってくるから子どもたちと待っててくれ」
「遥琉さん」反射的に袖を掴んでいた。
止めても無駄なのは分かっていた。
引き留めても行ってしまうのは分かっていた。
「そんな顔をするな。地竜に焼きもちを妬かれるぞ」
くすりと笑う彼。
「言い忘れていたが奈梛はナオが連れてくる。りんりんとフーが迎えに来るまで面倒をみてやってくれ」
「お帰りみんな」
「ママ、ピーポーピーポーの音すごいよ。火事かな?事故かな?」
「ドーン、ドーンって大きな音がしたって、ヤスさんと佐治さんが話していたよ」
ランドセルを背負った小学生組四人が不安そうに空を見上げた。
「坊っちゃん、お嬢ちゃんたち家に入りましょう」
ヤスさんと佐治さんが声を掛けた。そのとき「あ、いっくんにいにだ。かなくんとゆうくんとめいねぇねもいる。みんないる」と奈梛ちゃんの声がして。玄関から元気いっぱいに奈梛ちゃんが駆けてきて一太にぎゅっと抱き付いた。
「なやちゃん遊びに来てたんだね」
「うん。いっくんにいにだっこ」
両手を広げる奈梛ちゃん。
一太は黄色い手提げバックを下に置くと、笑顔で奈梛ちゃんを抱き上げた。
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